ナショナル・シアター・ライブのハンサードの魅力について

作品

日本国内では、一昔前のようにテレビドラマの視聴率が振るわなくなってきました。その反面、サブスクなどで、海外ドラマや過去に放映されたドラマを見る方が急増しています。いい作品だけ見ることができる贅沢な時代が到来しているのです。ナショナル・シアター・ライブなどを利用すれば、国内に居ながら、海外の演劇などを楽しむことができます。

ナショナル・シアター・ライブとは

ナショナル・シアター・ライブは、日本国内の主要都市にある映画館で、海外の演劇を閲覧することができるサービスです。日本未公開の作品を楽しむことができること、音響の良い映画館で演劇を楽しむことができること、そして、通常の演劇では観ることができない役者さんの細かな表情を楽しむことができることなど、様々なメリットがあるサービスとなっています。

また、ナショナル・シアター・ライブで放映される作品は、多くの作品から厳選されたものばかりですので、まずハズレがありません。演劇は、長い時間をかけて楽しむものですので、ハズレを引いてしまうと、時間もお金も無駄に浪費してしまいますが、こちらのサービスで上演されている作品は、どれも本国で評価の高かった作品ばかりですので、そういったリスクがありません。また、巧みなカメラワークによって、生で観た時よりもドラマチックな作品を楽しむことができるといったメリットがあります。ハンサードのように。アンコール上演がされるような作品は、まず間違いありません。

ハンサードとは

この作品では、一組の夫婦の結婚のピンチが描かれています。夫は、妻の左寄りの思想や内向的な性格、そして実態の見えない理想論を聞くたびにイライラしています。逆に妻は、夫が持つ特権階級意識やサッチャー改革、そして保守党を批判しているという、思想や現代社会における人の在り方が正反対の二人のやり取りをベースに話が進んでいきます。

タイトルとなっているハンサードは、イギリス議会において、本会議事録という意味があるそうです。夫の職業が議員であること、そして二人の口論を記録している事、そして物語の中で明かされる夫婦の秘密などを議事録として記録しているという意味がありそうです。

現在の日本と比較する方の多い作品

この作品は、イギリス国内のどこにでもいる夫婦の生活をベースに作られた作品となっています。そのため、ライフスタイルも、思想も、そして経済的な内容も大きく違うはずなのに、多くの方が、ご自身の事や、ご自身の周りの人間と比較しているようです。日本国内では、離婚率が年々増加していることもあり、皮肉交じりの夫婦の罵り合いなどは、重ねてみてしまう部分が多いのだと思います。

しかし、単なる夫婦の口喧嘩で終わらず、なぜ、このような夫婦関係になってしまったのか、そして、離婚せずにこのままの関係を維持しているのかなど、物語の核心に迫っていくにつれて、徐々に目が離せなくなり、最後には号泣してしまいます。多様性を容認しなければいけないのに、容認することがストレスに感じてしまう日本国内において、こういった演劇がヒットするのは、非常に時代に合っているのだと思いました。

ハンサードの公開情報

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